野見山暁治について
102歳を迎え、亡くなる直前まで、毎日自身の足で新しいキャンバスに向かっていました。未だ到達できない何かを求めるかのように、描き続けていた姿に、希望の光を見出さずにはいられません。
その道程をご紹介させていただきます。
画歴
1920年12月17日 福岡県嘉穂郡穂波村(現飯塚市)に、父野見山佐一、母キクヱの3男4女の長男として生まれる。
1933年(12歳) 4月 福岡県嘉穂中学校(現福岡県立嘉穂高等学校)に入学、同校の美術部に入部。
1938年(17歳) 2月 上京。飯塚出身の画家斧山萬次郎宅へ寄萬。乃木坂のデッサン研究所・同舟舎に通い始める。
4月 東京美術学校油画科予科に入学。青山八幡町の骨董屋の2階に住む。
1939年(18歳) 4月 東京美術学校本科に進学、南薰造の教室に入る。
この頃 萬鉄五郎、村山塊多、関根正二らのフォーヴィスムの絵画に惹かれる。
1942年(21歳) 4月 第20回春陽会展に《髪をすく少女》を出品、初入選。
1943年 (22歳) 9月 戦争のため東京美術学校を繰り上げ卒業。
11月 現役兵として入隊、満州牡丹江省に派遣。
1946年(25歳) 夏 セザンヌの影響を受け、キュビスム風からグレコ風へと作風が変わる。
10月 坂本繁二郎らによって結成された西部美術協会第2回公募展に《街》《塔》を出品。《塔》が福岡県知事賞を受賞。翌年会員となる。
12月 第1回青蛾会洋画展に《静物》を出品、朝日新聞賞を受賞。
1948年(27歳) 夏 福岡の実家を出て、横浜市保土ヶ谷に住む。
10月 第12回自由美術家協会展に3作品出品し、《海峡》で自由美術家協会賞を受賞、会員に推挙される。
11月 妹の同級生の内藤陽子と結婚、世田谷区に住む。
1950年(29歳) 8月 初の個展を日本橋の北荘画廊で開催。
1952年(31歳) 12月 第1回桜新人賞作品展覧会に《群像(坑内)》《坑内の男》《青年》を出品し、桜新人賞を受賞。
同月 フランス政府私費留学生として渡仏。
1953年(32歳) 1月 マルセイユ着、翌日パリに到着。アカデミー・ド・ラ・グランド=ショーミエールに入学。3年間在籍。
1954年(33歳) 2月 第5回サロン・ド・ラ・ジューヌ・パンチュールに《腰かける女》《横たわる女》《肘をつく女》を出品。
8月 ベルギーへの旅行途中、炭坑町シャルルロアのボタ山風景に出合う。
11月 サロン・ドートンヌに《Ville Minière》《Paysage(パリ郊外)》を出品。
1955年(34歳) 4月 第66回サロン・デザンデパンダン展に出品。
1956年(35歳) 4月 サロン・ドートンヌの会員に推挙される。
10月 妻・陽子 逝去
1957年(36歳) 7月 何度かのパリ市内転居の後、パリ郊外のライ・レ・ローズに移る。(高田博厚の住んでいた部屋)
1958年(37歳) 11月 第2回安井賞候補新人展に出品、《岩上の人》で安井賞を受賞。国立近代美術館が購入。
1959年(38歳) この頃 東洋画への憧れが強くなり、パリのギメ美術館にしばしば通う。
1960年(39歳) 10月 パリで最初の個展「NOMIYAMA Peintures」(ジャンヌ・カステル画廊)開催。
11月 サロン・ドートンヌに最後の出品。
1963年(42歳) 8月 スペイン旅行し、翌年5月までマドリ―ドに滞在。
1964年(43歳) 6月 12年間のヨーロッパ滞在に終止符を打ち帰国。世田谷の妹夫婦と同居。
11月 帰国後最初の個展「野見山暁治渡欧作品展」(銀座・壹番館ギャラリー)開催。約70点を出品。
この頃 自由美術家協会を退会して無所属となる。
1968年(47歳)10月 東京藝術大学助教授(美術学部絵画科)に就任。
1971年(50歳) 8月 博多でクラブを経営する武富京子と結婚。
同月 東京都練馬区にアトリエ兼住居を建築(設計は篠原一男)。
11月 磯崎新設計による福岡相互銀行(現西日本シティ銀行)の応接室の室内装飾を手掛ける。
1972年(51歳) 4月 東京藝術大学教授に就任。(1981年に退官。引き続き客員教授)
1976年(55歳) 8月 『祈りの画集』執筆のため、宗左近・安田武と共に東京美術学校出身の戦没画学生の遺族に取材を始める。
(翌年1月まで)
1977年(56歳) 5月 長崎市常盤町の十八銀行記念体育館に壁画完成。
1978年 (57歳) 7月 『四百字のデッサン』(河出書房新社)で第26回日本エッセイスト・クラブ賞受賞。
1983年(62歳) 10月 初の回顧展、「野見山暁治展」が北九州市立美術館、東京セントラル美術館で開催される。
1984年(63歳) 4月 大阪工大摂南大学創立60周年記念館に室内装飾《空のメッセージ》完成。
1986年(65歳) 2月 『野見山暁治素描集 デッサン』(用美社)刊行。
6月 東京藝術大学名誉教授となる。
1989年(68歳) 11月 東京都墨田区のアサヒビール本社ビル・玄関風除室にモザイク《明日へ》完成。
1990年(69歳) 10月 長谷川逸子設計による藤沢市湘南台文化センター・市民シアター・ロビーに壁画《宇宙ピクニック》完成。
1992年(71歳) 3月 平成3年度第42回芸術選奨文部大臣賞(美術部門)を受賞。
8月 立正大学石橋湛山記念講堂にモザイク壁画《炎のごと、華のごと》完成。
1994年(73歳) 2月 第1回福岡県文化賞を受賞。
5月 『野見山暁治作品集』(講談社)刊行。
1996年(75歳) 10月 野見山暁治展―その、動く気配の一瞬の形を(練馬区立美術館)開催。
この年 毎日芸術賞受賞。
1997年(76歳) 5月 上田市に戦没学生慰霊美術館「無言館」開館。以降、毎年「無言忌」が開かれる。
2000年(79歳) 11月 文化功労者に選ばれる。
2001年(80歳) 9月 妻・武富京子 逝去。
2003年(82歳)8月野見山暁治展(東京国立近代美術館、大分市美術館、富山県立近代美術館、愛知県美術館)開催。
12月 「アトリエ日記」(「美術の窓」12月号)の連載が始まる(現在も連載中)。連載をまとめた単行本は、2020年12月まで6冊を刊行。
2004年(83歳) 10月 野見山暁治展 バケの皮(阿蘇、坂本善三美術館)開催。
2005年(84歳) 10月 戦没画学生慰霊美術館「無言館」設立で、窪島誠一郎と菊池寛賞受賞。
2008年(87歳) 6月 東京メトロ副都心線・明治神宮前駅にステンドグラス《いつかは会える》完成。
2009年(88歳) 10月 『野見山暁治 全版画』(アーツアンドクラフツ)を刊行。
2010年(89歳) 10月 野見山暁治展(佐賀・画廊憩ひ)開催。タブロー33点と面10点を展観。
2011年(90歳) 3月 JR博多駅にステンドグラス《海の向こうから》完成。
9月 野見山暁治展(久留米・石橋美術館、東京・ブリチストン美術館)開催。
同月 『異郷の陽だまり』(生活の友社)刊行。
12月 『野見山暁治画文集 目に見えるもの』(求龍堂)刊行。
2012年(91歳) 1月 第146回芥川賞受賞作、田中慎弥著『共喰い』の装丁に版画を提供。
10月 南薰造と教え子たち展(呉市立美術館)に出品。テープカットと講演会を行う。
同月 パリを旅行し、留学中のゆかりの地を訪ねる。
2013年(92歳) 1月 福岡空港・国際ターミナルにステンドグラス《そらの港》完成。
2月 野見山暁治展(佐賀・画廊憩ひ)開催。
同月 『遠ざかる景色』(みすず書房)刊行。
10月 消えないもの 野見山暁治展(尾道市立美術館)開催。
2014年(93歳) 1月 野見山暁治展 いつかは会える(紀尾井町・ニューオータニ美術館)開催。
3月 はじめまして百貨店野見山暁治です。(大阪髙島屋美術画廊、同京都、同日本橋、同横浜と巡回)開催。
10月 『とこしえのお嬢さん 記憶のなかの人』(平凡社)刊行。
11月 文化勲章を受章する。
同月 野見山暁治イラスト展(銀座・みゆき画廊)開催。田中小実昌新聞小説挿絵。
2015年(94歳) 1月 記念講演「金山康喜と私」(神奈川県立近代美術館・葉山、「金山泰喜とパリ-1950年代の日本人画家たち」展関連企画)を行う。
2月 NHK新日曜美術館で「行き暮れてひとり~画家野見山暁治のアトリエ日記」放映。
同月 野見山暁治版画展(海南・画廊ビュッフェファイブ)開催。
3月 野見山暁治展―また会えた(木更津わたくし美術館)開催。
同月 こんどは来れた―野見山暁治展(京都・ギャラリーヒルゲート)開催。
5月 講演会「1950年代、巴里の日本人画家達」(富山県立近代美術館、「金山泰喜とパリ」展関連企画)を行う。
同月 野見山暁治新作ドローイング展(銀座・永井画廊)開催。
7月 野見山暁治モノタイプ展(南青山・新生堂)開催。
同月 野見山暁治イラストと版画展(福岡・ギャラリーおいし)開催。田中小実昌新聞小説挿絵など。
8月 記念講演会「パリの異邦人たち―カナヤマのことなど」(世田谷美術館、「金山康喜とパリ」展関連企画)を行う。
同月 講演会「還らぬ友人たち」(富山県立近代美術館、戦後70年無言館展関連企画)を行う。
12月 野見山暁治蜂の巣小品展(銀座・ナカジマアート)開催。
2016年(95歳) 2月 長崎みなとメディカルセンターにステンドグラス《あしたの空》完成。
3月 記念講演「絵とは何だろう」(飯塚・イイヅカコスモスコモン、市合併10周年記念式典)を行う。
4月 絵:野見山暁治、新美南吉絵童話集『でんでんむしのかなしみ』(星の環会)刊行。
5月 一般財団法人野見山暁治財団を設立。
9月 母校である福岡県立嘉穂高校附属中学校にて特別授業を行う。以後毎年この時期に実施。
10月 パリを旅行する。
2017年(96歳) 1月 野見山暁治の蛋の市(銀座・ナカジマアート)開催。
同月 春が来た。野見山暁治展(京都・ギャラリーヒルゲート)開催。
2月 170歳対談 野見山暁治・窪島誠一郎(上田・信濃デッサン館、第38回槐多忌)を行う。
3月 堀江敏幸の新聞連載「傍らにいた人」の挿絵を担当。(「日本経済新聞」土曜日朝刊、翌2月まで全52回)
同月 飯塚市新市庁舎正面玄関にステンドグラス《還ってくる日》完成。
4月 野見山暁治展―また会えた(木更津わたくし美術館)開催。
6月 第20回無言忌(上田・無言館)。この回で最後となる。
同月 練馬区名誉区民に選ばれる。8月に練馬区独立70周年記念式典にて顕彰。
同月 第63回練馬区美術家協会展に招待作品。
同月 講演会「消えない死者」(長崎県美術館、無言館展関連企画)を行う。
7月 野見山暁治巴里祭(表参道・Galerie412)開催。
同月 野見山暁治展(イタリア会館・福岡SPAZIO ART GALLERY)開催。
同月 テレビ西日本「美の鼓動・九州」に出演。
10月 講演「12年間のパリ暮らしとコミちゃんの思い出」(石神井公園ふるさと文化館分室展、企画展「作家の手紙展」関連企画)を行う。
12月 ケーブルテレビJ:COM「J:COM練馬図鑑 洋画家 練馬区名誉区民 野見山暁治」に出演。
同月 講演「自作を語る」(練馬・ココネリ、第7回九条美術展関連企画)を行う。
同月 野見山暁治収蔵作品展(練馬区立美術館)開催。練馬区名誉区民顕彰記念。
2018年(97歳)5月 『みんな忘れた 記憶のなかの人』(平凡社)刊行。
6月 講演会(長崎県美術館、「祈りの絵」展関連企画)を行う。
7月 夏の遊び 野見山暁治展(銀座・ギャラリーゴトウ)開催。
8月 『野見山暁治一人はどこまでいけるか』(平凡社、のこす言葉KOKORO BOOKLET)刊行。
9月 野見山暁治展(佐賀・画廊憩ひ)開催。
同月 講演「なぜ絵を描き続けるのか?」(九州国立博物館、九州産業大学特別所蔵品展関連企画)を行う。
10月 講演「私と自由美術」(六本木・国立新美術館、第82回自由美術展関連企画)を行う。
11月 特別講演会 野見山暁治×堀江敏幸(東松山・総合会館、高田博厚展関連企画)を行う。
同月 記念鼎談「近況を語る」(碧南・大浜まちかどサロン、愉しきかな!人生 一老当益壮の画人たち展関連企画、柳原正樹、木本文平)に出演。
12月 野見山暁治 Noël Noël Noëlカット展(表参道・Galerie412)開催。堀江敏幸の新聞連載「傍らにいた人」挿絵を展観。
2019年(98歳)1月 NHKラジオ「ラジオ深夜便」、「明日へのことば」コーナーで「僕は絵描き」と題して出演。
3月 蚤の会の桜の咲くころ展 野見山暁治と蚤の子達(練馬桜台・呉天華)開催。
4月 こんどは来れた 第2弾―野見山暁治展(京都・ギャラリーヒルゲート)開催。近作の油彩や銅版画、ドローイングなど60数点を展観。
5月 野見山暁治の気ままな小品展(銀座スルガ台画廊)開催。
9月 野見山暁治版画展(イタリア会館・福岡SPAZIO ART GALLERY)開催。
10月 TBSラジオ「蔦信彦 人生百景〈志の人〉」に出演。
2020年(99歳)1月 野見山暁治展(佐賀・画廊憩ひ)開催。
8月 コレクション展Ⅰ「特集:野見山暁治の水彩・素描」(福岡県立美術館)開催。当時3月の開催予定が新型コロナウイルスの影響を受け8月に延期された。
同月 野見山暁治展―絵描きと絵の旅路(福岡・みぞえ画廊)開催。
10月 東京メトロ銀座線・青山一丁目駅にステンドグラス《みんな友だち》完成。
11月 福岡県立美術館に37点の作品を寄贈、福岡県庁で贈呈式を開催。
2021年(100歳)1月 絵描き、道楽、続けて百年、野見山暁治です(日本橋髙島屋美術画廊、同京都、同横浜と巡回)開催。
同月 100歳記念 すごいぞ!野見山暁治のいま展(日本橋髙島屋S.C、京都髙島屋)開催。
2月 コレクション展Ⅲ 特集 野見山暁治(北九州市市立美術館本館)開催。
5月 今、新しい風が吹く 野見山暁治展(枕崎市文科資料センター南溟館)開催。
2022年(101歳)1月 野見山暁治展 100年を超えて(堺屋太一記念 東京藝術大学 美術愛住館)開催。
長崎県美術館で「2022年度 長崎県美術館 新収蔵記念 野見山暁治展」開催
福岡県立美術館で「野見山暁治寄贈記念展 さあ、絵を描こう」開催
飯塚市にみぞえアートギャラリー野見山暁治館オープン
2023年 (102歳)飯塚市総合体育館エントランスホールに陶板レリーフ《明日の空》設置
6月22日 ご逝去
東京と福岡(糸島市) のアトリエを拠点に制作。著書多数
コレクション 東京国立近代美術館、国立国際美術館、福岡県立美術館、久留米市美術館、練馬区立美術館
新潟県近代美術館、横須賀美術館、尾道市立美術館 他
野見山暁治財団について
野見山暁治財団のページはこちらです。http://nomiyama-f.or.jp/